前頭葉の謎を解く―心の宇宙〈1〉 (学術選書)
この本は、どちらかと言うとサルを中心とした実験手法の解説とその結果の読み取りに紙面が割かれているように感じた。
もちろん、重要なことが記載されている。
前頭葉のワーキングメモリ、意思決定機構は、脳内の他の部位からの入力と、入力元への出力を持っていること。その入力元は一次野からというよりは二次野からが多いような印象を受けた(勝手にそう感じているだけかもしれないけど)。
一方、脳の他の皮質においても同様のワーキングメモリ的な構造は存在しているようで、それぞれそのモジュール内で入出力を持っているようである。
いわば、機能特化型のワーキングメモリ。
前頭葉のワーキングメモリは機能特化型ではないようだ。
としたら、機能特化型のワーキングメモリと双方向連絡をしているのかも、と思った。
ワーキングメモリのワーキングメモリ、という構図は、入力器ーワーキングメモリ、ワーキングメモリー出力器という機能に特化していたつながりを、同じ部品、同じ機能を用いながらにして、次元をひとつ押し上げたような効果をもたらしているように思う。
それは、具象的な思考から抽象的な思考へとつながる新たな武器を人類に与え、
同時に人類の宗教・文化・科学・自己の認識・他者への思いやりと戦争、といった特にヒトで発達した、良くも悪くも人間らしいものをもたらしたのだろうと思う。
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