2009年7月5日日曜日

読んだ本:「知の創発」

忙しい忙しいと嘆いてばかりいても仕方ないので
また本を読んでみた。

知の創発 ロボットは知恵を獲得できるか

伊藤宏司 著
発売日:2000.03.23
定価:2,940円
サイズ:A5判
ISBNコード:4-7571-6005-4



題名と内容がいまいち一致していない印象を受けたんですが。

群ロボットの話が出てきていました。
個性を持たせ、その揺らぎ方を固定せずに
いつでも揺らぎ続けるようにすると、うまく行くらしいと。
ただ「並ぶ」という指令のみ与えられた状態で、
全ての個体がまったく同じでは円形に並ぶことは出来ても
1列になることが出来ないらしい。
先頭を決めるモードが必要なんだって。ふぅ~ん。


感想としては:
ヒトの脳内も群ロボットの集まりやんなぁ、と思った。
全体を見渡せるロボットは存在せず、
役割の違うロボットが非常に多数活動している状態。
それを見てほぼ時系列に記録しているモジュールが
意識と呼ばれる領域。
ただ、意識されるとされないとに関わらず
行動結果はフィードバックされ、
意識されたからといって行動は起こしてしまっているので
意識したからといって再計算されることはないよねー。
イメージトレーニングをしよう、と考え付くモジュールがいて、
行動のシミュレーションをやるモジュールがそれに賛同すれば
イメージトレーニングが始まって、さっき実行した時の情報も
使いつつ、だんだん上手になっていく…
あ、この本の話題からどんどん離れていく!


あと、アイディアをひらめくのも技術なんだってくだりが面白かった。
凡人だから、全知全能の神じゃないからこそ、
ひらめくことが出来るんだそうで。
そりゃそうだ。
だけど、そんなふうに考えたことなかったな、と。



ちょっと、いえ、かなり本の内容から外れますが:

計算機の機能(コンピュータ間の通信速度あるいは通信帯域、記憶容量とワーク用のメモリの増大)
が今より桁違いに、それこそ何100万倍、ということになれば、知能と呼べるものを、
ロボットは獲得できるのではないかと思います。

計算速度は遅くても、一度に数万の入力を受け付けて
数万の相手に出力することが出来るモジュールを脳神経細胞の数だけ、
あとホルモンやグリア細胞による制御を模すために環境変数みたいなのとかを
処理できる機械ができれば、ニューロン-シナプスモデルの人工知能は
作れるかもしれないと思います。
おっと、入力と出力の装置としての身体も必要ですね。

人間らしい知能を実現するためには、
人間のような身体が必要なのではと思い始めています。

同じ構造で動作するのでなければ、効率的な省エネルギーな動き
というのは異なってくると思うので、もし関節の数や関節を動かす時に必要な
エネルギーが筋肉-骨格のモデルと異なる時は
そのロボットが自発的に作動したとしても、なんだか奇妙な動きに見えるでしょう。

まったく異なる存在が、お互いの行動や考えを理解しあうには
障壁が高すぎる気がします。

種が異なる動物同士で、
「あ、怒ってる」とか「眠そうだ」とかが判るのは、
やはり同じ仕組みで動いていて、ご飯を食べなきゃおなかが減るし
ひもじければ惨めな気持ちになるんだろうなあ、とかいう
共通のことがらがあるから、なのではないかと。

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