2013年2月13日水曜日

岩波講座ロボット学 6 ロボットフロンティア


岩波講座ロボット学 6 ロボットフロンティア



この本は、ナノマシンの話であったり、医療用ロボットだったり、人工知能やヒトの機能・知能を興味の中心にしている私のような者にとっては多少退屈。

しかし、2章の「脳科学とロボティクス」は単に脳を手本としたロボット学や人工知能研究への導入文として読んでも面白そうだ。
脳科学とロボティクスが共発達していくことも書かれている。
また、David Marrの「ビジョン」、伊藤正男の「脳のメカニズム」が紹介されている。

5章では「認知力学系とロボティクス」と題して、記号接地問題は、そもそも存在しない、という立場を紹介している。

6章の「デジタルヒューマン」も結構面白い。
元々は自動車の衝突実験で使われるダミー人形をコンピュータシミュレーション上で用いるためのもののようだが、人間のサイズ、構造、硬さ柔らかさ、動きなどの蓄積された情報はヒューマノイドロボットを作る際に大いに参考にされるべきものだと思える。

意外に、ヒューマノイドロボットの開発者が人間の行動、体の特徴を研究していないということがわかる。
これだけ二足歩行のヒューマノイドロボットが開発されている日本なのに、SHIN-WALKのような、言われてみれば当たり前のようなことが天才高橋智隆さんの登場までわからなかったという…
HRP-4Cの歩行はかなり良くなっているが、モデルウォークにはあと一歩及ばない。
ロボットの動きがメカメカしいのは、モーションの作成が面倒くさいというのもあると思うけど(モーション作成者のセンスの問題?)、使っている動力の違いによるものが大きいと思います。脱力するだけでぶらぶら受動的に動く筋肉は、同時に、電気モーターに比べればかなりの瞬発力を発揮します。電気モーターでは颯爽とした動きが難しいのはこの点に問題があると思うのです。また、能動的に制御しなければ筋肉のあの受動的な「ぶらぶら」感は表現できません。高橋智隆さんにモーションの生成プログラムの作成指揮をとってもらえば、「ぶらぶら」感を自動的に再現できるモーションエディタができるかもしれませんね。 

以下、記号接地問題について、わかってない奴が寝言を言ってます。
自分が、記号や抽象的な概念を、どうやって「納得」しているか、というような問題だと、大雑把には理解している。
認知力学というものがまた雲をつかむような概念なような気もするが…
というか、あんまり理解できてません。
自分が初めて目にする図表があるとして、その数値やグラフの意味を理解するためには、頭の中でその図表のタイトルや情報の出てきた背景・分野などの既知の情報との接点を探していると思う。
そんな難しいことでなくて、「自分に向かうある方向(例えばベクトルx)を持ち、ある距離dからある速度vで飛んでくるボールがあるとき、状況に応じてこれを避けるのか、つかむのか、蹴飛ばすのかを選択し、体を適切に運動させ、選択した行動を達成する」というようなときを例にすると…
この時に、ただ記号的にベクトルの軸の定義やベクトルの各要素の値、速度とその単位、自分までの距離などを文字として見せられたり、コトバで聞かされたりしても、すぐには動けないと思う。でも、自分の目で直接そのボールを見れば、そんな記号や数字を知らされる必要はなく、ほぼ自動的に体は動く。
記号で与えられたときは、自分の内部情報や内部座標系を用いて理解できるように翻訳しなければ体は動かせない、この翻訳が記号と認識を繋ぐための操作だと思う。
それに対してはじめから自分の内部情報や内部座標系を用いて認識されたボールに対する対応は素早い。翻訳の必要がないということは、記号接地問題が存在しないということだと思う。
ということで… さっぱりわからんな。
翻訳の必要がないと言うよりは記号を用いていないような気がする…





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